香典返しの金額の目安は?半返しの意味や高額な香典への対応を解説!
香典返しの金額設定には一定の目安があるものの、実際には地域の風習や贈る相手との関係性によって判断が分かれることも多くあります。特に「半返し」が基本とされる中で、3分の1程度でも問題ないとされるケースや、高額な香典への対応など、迷う場面は少なくありません。
当記事では、香典返しの基本的な金額相場や状況別の考え方、マナーや費用を抑える工夫などを解説します。初めて香典返しを行う方は、ぜひお役立てください。
1. 香典と香典返しの基本
葬儀に参列する際に渡す「香典」や、香典の返礼品である「香典返し」には、日本独自の礼儀やマナーがあります。以下では、まず香典や香典返しの基本的な意味や目的について解説します。
1-1. 香典とは?
香典とは、故人の霊前に供える金品のことで、本来はお香を薫じて供えるという意味を持っています。かつては「香奠(こうてん)」と書かれ、香りのするお香や供物を差し出すのが一般的でした。しかし、時代の変化とともに香典の形は変わり、現在では現金を包んで渡すのが通例となっています。
現代の香典には、葬儀を営む遺族への経済的な支援という意味合いも込められており、相互扶助の文化の一環と言えます。特に明治から昭和にかけての都市化・貨幣経済の進行により、物ではなく金銭を贈る形が一般化していきました。
香典は通夜や葬儀、告別式などで持参するのが一般的で、白黒や銀の水引が付いた不祝儀袋に包み、ふくさに入れて持参するのが正式なマナーです。
1-2. 香典返しとは?
香典返しとは、葬儀の際にいただいた香典に対し、遺族が感謝の気持ちを込めて贈る返礼品のことです。故人の冥福を祈ってお供えいただいた厚意に対し、忌明けを迎えたことを報告しながら、丁寧にお礼を伝える目的があります。
香典返しには「いただいたご厚志に感謝を示す」という意味が込められており、地域や宗教によっては「志(こころざし)」「満中陰志(まんちゅういんし)」などとも呼ばれます。形式や品物の種類は時代とともに変化してきましたが、基本的な意義は今も変わりません。
なお、香典返しは一般の参列者だけでなく、親族に対しても贈るのが原則とされています。身内であっても香典をいただいた場合には、感謝の意を形にして伝えるのが礼儀です。
2. 香典返しのタイミングは忌明け?
香典返しは、四十九日法要を終えた「忌明け」の時期に贈るのが一般的です。忌明けとは、故人の冥福を祈り、遺族が喪に服す期間の終わりを意味します。特に仏式では、亡くなった日から49日目に営まれる「七七日忌(しちしちにちき)」が忌明けとされ、法要後に香典返しを行う慣習が広く知られています。
忌明け後1か月以内に香典返しを贈るのがマナーとされていますが、実際には法要後すぐに手配されることが多いです。また、最近は葬儀当日に品物をお渡しする「当日返し」という形式もありますが、基本的には故人を丁寧に見送った後、節目となる忌明けに合わせて返礼します。
なお宗教によっても忌明けの時期は異なるため、下表にまとめました。
| 宗教 |
忌明けのタイミング |
香典返しの時期の目安 |
| 仏式 |
四十九日(49日目) |
四十九日法要後、1か月以内 |
| 神式 |
五十日祭(50日目) |
五十日祭後、1か月以内 |
| キリスト教 |
プロテスタント:召天記念日(1か月後)
カトリック:追悼ミサ(30日後) |
忌明けに相当する時期をすぎてから速やかに |
3. 香典返しの相場・金額の目安
香典返しの金額は「半返し」が基本と言われていますが、実際には地域の慣習や贈る相手との関係性によって適切な金額は変わることもあります。金額設定を誤ると、かえって失礼にあたることもあるため、状況に応じた対応が必要です。
以下では、香典返しの相場・金額の目安を解説します。
3-1. 香典返しの金額は半返しが一般的
香典返しの金額は、受け取った香典の半額程度を目安とする「半返し」が一般的です。厳密に半額である必要はなく、3分の1~半額程度の範囲内が相場とされています。
半返しの風習は、香典が葬儀費用の一部を補う「相互扶助」の意味を持っていた時代にさかのぼり、余った香典の一部を感謝の気持ちとして返すことが起源とされています。
たとえば、5,000円の香典をいただいた場合は2,500円前後、1万円の場合は3,000~5,000円程度の品物が相場とされます。高価すぎる返礼はかえって失礼になることもあるため、適切な金額設定が大切です。
3-2. 地域性による金額の違い
香典返しの金額や形式は地域によって異なります。関東は3分の1返しも多く、関西は半返しが基本です。北海道や沖縄では、葬儀当日に一律1,000~1,500円程度の品を渡す「当日返し」が主流となっています。また、埼玉や群馬など一部地域では、香典返しを行わない風習も残っています。下表でそれぞれの地域の金額の違いをまとめました。
| 地域 |
形式・相場 |
| 関東 |
3分の1返しも多い |
| 関西 |
半返し・満中陰志 |
| 北海道 |
当日返し/一律1,000~1,500円 |
| 沖縄 |
当日返し・礼状省略もあり |
| 北関東 |
香典返しなしの地域もあり |
3-3. 贈る相手による金額の違い
香典返しの金額は、香典をいただいた相手との関係性によって異なります。相手に応じた対応をすることで、失礼のない丁寧な香典返しができます。
- 親族・身内
高額の香典をいただくことが多いため、香典返しは3分の1~4分の1程度でも問題ありません。故人が一家の大黒柱だった場合などは、香典返しを控えることもあります。香典には生活支援の意味もあるため、経済的負担が大きい場合は無理をせず対応しましょう。
- 会社関係者(会社名義)
香典袋の名義が「会社名のみ」または「会社名+社長名」の場合は、香典返しは不要とされるのが一般的です。これは会社の福利厚生の一環として、経費で支給されているケースが多いためです。供花や弔電も同様に、香典返しは必要ありません。
- 会社関係者(個人名義)
香典袋に社長や上司の個人名が明記されている場合は、個人の厚意と考えられます。この場合は、通常通り香典返しを用意する必要があります。名義が不明確な場合は、総務などに確認を取り、会社からのものか個人からのものかを確認しましょう。
- 友人・知人
「半返し」が基本とされ、香典額の半額程度の品を選ぶのが一般的です。高額すぎない実用的な品物や、消耗品が選ばれやすい傾向にあります。
3-4. 香典が少ない金額でも香典返しをするのが基本
少額の香典に対しても、香典返しを贈るのが基本的なマナーです。香典返しの金額の目安は、金額にかかわらず「3分の1~半額程度」が一般的です。たとえば、3,000円の香典には1,000~1,500円程度の品を選ぶとよいでしょう。
なお、経済的事情で香典返しを控える場合や、相手が辞退の意向を示している場合には、代わりにお礼状を送ることで、感謝の気持ちを伝えられます。
4. 香典返しの金額が3分の1でもよいケース
香典返しの金額は「半返し」が基本とされていますが、すべてのケースに当てはまるわけではありません。状況によっては3分の1程度のお返しでも問題ないとされることがあります。
以下では、香典返しの金額を3分の1に抑えても失礼にあたらないケースを紹介します。
4-1. 一家の中心となる人物が亡くなったとき
香典返しは半返しが一般的ですが、一家の働き手が亡くなった場合や遺された家族に未成年の子どもがいる場合などは、香典返しの金額を3分の1程度に抑える、あるいは省略することも認められています。
生活の立て直しや将来の教育費などを優先してもらいたいという周囲の配慮によるもので、失礼にはあたりません。香典返しを控える場合は、お礼状や挨拶状を通じて感謝の気持ちを丁寧に伝えることが大切です。
4-2. 地域ごとに香典返しの金額が異なる場合
香典返しの慣習は、地域によって金額の相場や返礼品を送る時期などに特色があります。そのため、地域で「3分の1」や「一律1,000~1,500円」など香典返しのルールがある場合は、その特色に従いましょう。
なお、地域外からの参列者に配慮する必要がある場合には、事前に親族や葬儀社と相談し、両者にとって違和感のない形を検討するのがおすすめです。形式にとらわれすぎず、相手への感謝が伝わる対応を心がけることが大切です。
4-3. 親族や会社関係者から高額な香典をいただいた場合
親族や会社関係者からは、「葬儀の費用に充ててほしい」という意図で、5万円や10万円といった高額な香典をいただくことがあります。このような場合、通常の半返しにこだわらず、3分の1~4分の1程度の香典返しでも失礼にはあたりません。
特に親しい間柄では、「香典返しよりも今後の生活に充ててほしい」と考える方も多く、形式よりも気持ちを大切にすることが重視されます。高額の香典に対しては、忌明け後に感謝の気持ちを込めたお礼状とともに、無理のない範囲でお返しするのが適切です。
5. 高額な香典をいただいた場合の香典返しのマナー
高額な香典をいただいた場合には、一般的な香典返しと比べて、より丁寧な対応が求められます。相手の心遣いに対する感謝の気持ちが伝わるよう、品物の選び方やマナーにも配慮することが大切です。以下では、贈る際の基本的なポイントを紹介します。
5-1. 高級感のある消え物を選ぶ
香典返しでは、「不祝儀を残さない」という意味から、食べ物や飲み物などの「消え物」がよく選ばれます。その中でも、日持ちのする高級菓子やお茶、コーヒー、海苔などは、品のある贈り物として人気があります。包装や見た目にもこだわり、落ち着いた色合いののしや挨拶状を添えることで、丁寧な印象を与えられます。
また近年では、消え物と並んで「カタログギフト」も香典返しとして選ばれることが増えています。相手が好きな品物を選べる点や、価格帯の幅広さから、多くの人に対応しやすい点が支持されています。
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5-2. 挨拶状を添える
挨拶状は、葬儀や法要が無事に済んだことを報告し、弔意への感謝を伝えるための文書です。特に故人と関係の深い方や高額な香典をいただいた方には、形式的な文面だけでなく、感謝の気持ちが伝わるよう丁寧に記載することが望まれます。
文頭には「拝啓」、文末には「敬具」などの頭語と結語を用い、感謝の言葉、法要の報告、香典返しの品についての説明を簡潔に盛り込むのが基本です。最後には喪主や遺族の名前を明記し、送り主が誰かが分かるようにします。形式を守りつつ、心のこもった表現を心がけると、相手にも丁寧な印象を与えられます。
5-3. 掛け紙をかける
香典返しでは、熨斗の代わりに「掛け紙」を用いるのが一般的です。掛け紙には水引と表書きが印刷されており、弔意と感謝の気持ちを表す重要な役割を担います。
仏式では黒白または藍銀の水引に加え、蓮の花が描かれたものが使われることもあります。一方、神式やキリスト教では蓮の図柄を避け、絵柄のない掛け紙を使用します。また、地域によっては関東では黒白、関西では黄白の水引が使われるなど風習に違いがあるため、迷った場合は地域の慣習や親族に確認すると安心です。
6. 高額な香典へのお返し金額の目安
故人と特に親しかった方や、ご遺族の生活状況に配慮して高額な香典をいただくケースもあります。一般的な金額と異なる場合は、お返しの金額や品物に配慮が必要です。
以下に、高額な香典へのお返しの金額の目安を解説します。
6-1. 3万円の香典をもらった場合の目安
3万円の香典をいただいた場合、香典返しの相場は1万~1万5,000円程度が目安とされています。半返しが基本ですが、いただいた金額の3分の1でも失礼にはあたりません。
品物の選び方としては、実用性と品格のあるものが好まれます。高級和菓子や今治タオルのセット、または1万円前後のカタログギフトなどは、年齢や性別を問わず選びやすい返礼品です。贈る相手の立場や地域の慣習も考慮しつつ、感謝の気持ちが伝わる丁寧な品選びを心がけましょう。
6-2. 5万円の香典をもらった場合の目安
5万円の香典をいただいた場合、香典返しの金額相場は1万5,000~2万5,000円程度が目安とされています。高額な香典に対しては、上質な品物を選ぶことが望ましく、有名ブランドのタオルセットや高級フルーツの詰め合わせなどが適しています。
また、2万円前後のカタログギフトも人気があります。受け取る方が自分の好みに合わせて商品を選べるため、実用性が高く満足度の高いお返しにつながります。
6-3. 10万円の香典をもらった場合の目安
10万円の香典をいただいた場合、香典返しの相場は3万~5万円程度が目安です。高額になるため、格式を意識した品選びが重要になります。上質な海産物や精肉、高級ブランドの食器セットなど、品質にこだわった品物がふさわしいでしょう。
選択肢の豊富な高額カタログギフトも人気があり、相手の好みに合わせた品を選んでもらえる点が魅力です。表紙は落ち着いた和柄などを選び、掛け紙や挨拶状も忘れずに添えるようにしましょう。
7. 特殊なケースの香典返し金額の考え方
香典返しの金額は通常、いただいた金額の半額程度が目安とされていますが、状況によっては判断が難しいケースもあります。たとえば、連名で香典をいただいた場合や、香典とともに供花も受け取った場合などです。こうしたケースでは、それぞれに適した返礼の考え方が必要になります。
以下では、特殊なケースの香典返しの考え方について解説します。
7-1. 連名で香典をもらった場合
連名で香典をいただいた場合も、基本的には香典返しを行うのがマナーです。お返しの方法は、贈り主がご夫婦や家族の場合には1世帯としてまとめて1つの品を贈るのが一般的です。職場の連名であれば1人あたりの金額を算出し、相場に見合った品物を選びましょう。
職場の一人ひとりに香典返しを渡すほうが丁寧な印象を与えられますが、個別に渡すのが難しい場合は、小分けにできるお菓子などを選ぶと便利です。連名の中に個人名が含まれているかどうかで対応が異なる場合もあるため、香典袋の表書きをよく確認した上で、失礼のないよう丁寧に対応しましょう。
7-2. 香典と供花をいただいた場合
香典と供花を同時にいただいた場合、基本的には香典に対する「香典返し」のみで問題ありません。供花に対しては、お返し品は不要とされていますが、1万円以上など高額な供花を受け取った際には、感謝の気持ちを込めてお礼状に加え、品物を添えることもあります。
香典と供花の両方に対してお返しする場合は、それぞれに品物を用意し、表書きを分けると相手に意図が伝わりやすく丁寧な対応となります。供花への感謝は形式にとらわれず、礼状で丁寧に気持ちを伝えることが大切です。
8. 香典返しをしなくてもよい場合
香典返しは基本的に必要とされるものですが、状況によっては省略しても差し支えないケースがあります。たとえば、葬儀案内で香典を辞退している場合や、遺族の経済的事情により香典返しが難しい場合が該当します。
また、香典を福祉団体などに寄付することで、感謝の気持ちを形にする方法もあります。これらのケースでは、香典返しの代わりにお礼状を添えることで誠意を伝えることが大切です。事情を丁寧に説明し、感謝の気持ちを言葉にして届けましょう。
9. 香典返しを安く抑える方法
香典返しは感謝の気持ちを伝える大切な機会ですが、通夜や葬儀、接待などの費用が重なる中で、返礼品にかける費用を少しでも抑えたいと考えるのは自然なことです。
費用を抑える方法として有効なのが、送料無料のオンラインショップを活用することです。たとえば、香典返し1件につき500円の送料が発生する場合、60件で3万円にもなります。送料無料サービスを利用すれば、このコストを削減できます。
また、割引価格の商品を選ぶことも方法の1つです。香典返しで割引商品を選ぶこと自体はマナー違反ではありません。ただし、あまりに安価に見える品や、粗雑な包装だと相手に失礼と受け取られる可能性があるため、品質や見た目に配慮した選定が重要です。
価格を抑えながらも、受け取る側の印象を損なわない工夫を心がけることで、適切なお礼と出費のバランスをとることができます。
まとめ