香典返しの品物は何を選べばいい?おすすめの定番やタブーな品物を解説
香典返しは、葬儀や告別式でいただいた香典への感謝を込めて贈る品物であり、法要が滞りなく終わったことを伝える役割もあります。品物選びでは、相手に負担をかけず、かつ失礼にあたらないことが大切です。定番はお茶やお菓子、タオル、石鹸・洗剤などの「消えもの」で、誰にでも使ってもらえる実用性の高い品が好まれます。
当記事では、香典返しにふさわしい品物、避けるべき品物、相場やお返しマナーまで幅広く紹介します。香典返しの選び方に迷っている方や、マナーを守った対応をしたい方はぜひ参考にしてください。
1.香典返しとは?
香典返しとは、通夜や葬儀・告別式でいただいた香典に対して、お礼の品物をお返しすること、またはその品物自体を指します。
香典は故人の霊前に供える金銭で、遺族を慰め、葬儀費用を助ける意味があります。香典返しは感謝の気持ちとともに、七七日忌(四十九日)の法要が無事に終わったことを報告する役割も担います。地域によっては「満中陰志(まんちゅういんし)」と呼ばれることもあり、古くから相互扶助の慣習として受け継がれてきました。
2.香典返しの品物は何を選べばいい?定番は?
香典返しでは、「不祝儀を残さない」ために、食べたり使ったりして形がなくなる「消えもの」がよく選ばれます。消えものには食品や飲み物、日用品などがあり、幅広い相手に贈りやすいのが特徴です。
ここからは、迷ったときにも安心して選べる香典返しの定番アイテムを紹介します。
2-1.カタログギフト
近年、香典返しの品物として人気が高まっているのがカタログギフトです。受け取った方が好みや生活スタイルに合わせてお気に入りの商品を自由に選べるため、相手の趣味が分からない場合でも安心して贈れます。内容は食品や日用品、ファッション雑貨、体験型ギフトなど多彩で、人気商品やグルメギフトも豊富に揃い、幅広い年齢層に喜ばれます。
カタログギフトに記載されている商品は、ハガキや電話、インターネットなどで簡単に注文でき、自宅で受け取れるのもメリットです。カタログを開く瞬間から「何を選ぼうか」とワクワクでき、届いた品物を手にしたときの喜びまで楽しめるのが魅力です。
カタログギフト- 京王ネットショッピング
2-2.お菓子
香典返しでお菓子が選ばれる理由は、誰にでも喜ばれやすく、食べれば形が残らない「消えもの」であることです。たとえば、焼き菓子やせんべい、あられなどの個別包装タイプは、大人数でも分けやすく保存もしやすい点が魅力です。
老舗和菓子は格式を重んじる場面にも適しており、洋菓子は幅広い年代に受け入れられます。当日返しの場合は軽く持ち運びやすいお菓子を選ぶとスマートです。相手の好みに合わせてドリンクを添えることで、さらに印象深い贈り物になります。
和洋菓子- 京王ネットショッピング
お茶- 京王ネットショッピング
コーヒー・紅茶・飲料- 京王ネットショッピング
2-3.緑茶
緑茶は「境界を区切る」という意味を持ち、故人との別れや悲しみを区切る象徴的な贈り物として香典返しに重宝されます。平安時代に伝わったお茶は、仏壇へのお供えや法事の場で定着し、今でも仏事と深い関わりがあります。
日持ちしやすく軽量で、持ち帰りやすい点もメリットです。茶葉のほか、手軽なティーバッグやドリップタイプもあり、暮らしに合わせて選べます。誰にでも喜ばれる実用性の高さが、緑茶の大きな魅力です。
お茶- 京王ネットショッピング
コーヒー・紅茶・飲料- 京王ネットショッピング
2-4.白いタオル
白いタオルは、法事や香典返しで多く選ばれる品物の1つです。その背景には、白布で故人を見送る古い風習や、「悲しみを拭う」という意味があります。無地の白は清潔感があり、仏事にもふさわしい落ち着いた印象を与えます。色柄の好みに左右されず、どなたにも安心して贈れるのも大きな魅力です。
香典返しにタオルギフトを選ぶ際は、日常使いのしやすさとともに、質の高さも意識して選びましょう。特別感のある「今治タオル」といったブランドなら、普段自分ではなかなか購入しないためより一層喜んでもらえます。
タオル- 京王ネットショッピング
2-5.石鹸・洗剤
石鹸や洗剤は、「不幸を洗い流す」という意味を持ち、香典返しの定番として広く選ばれています。日常的に使う消耗品であるため、独身世帯からファミリー層まで幅広く喜ばれる点も魅力です。
洗剤には洗濯用や食器用など種類があり、ギフトセットなら実用性が高く贈りやすいでしょう。柔軟剤は香りの好みに差があるため避け、無難な洗剤を選ぶのがおすすめです。特に食器用洗剤はこだわりが少なく、オーガニックやデザイン性の高い品は特別感も演出できます。
石鹸・洗剤- 京王ネットショッピング
3.消えもの以外の香典返しの品物は?
香典返しといえば食品や日用品などの「消えもの」が定番ですが、形に残る品物を選びたい場合には、消えもの以外の贈り物も喜ばれます。中でもよく選ばれるのが陶器・漆器・家庭用金物類です。
陶器は、かつて人が亡くなると土に埋葬されたことから「土に帰る」という意味を持ち、故人を偲ぶ贈り物として用いられます。
漆器は「不幸を塗りつぶす」「二度と不幸がないよう色直しをする」という意味合いがあり、縁起物として人気です。
家庭用金物類は古くから「光るもの」として魔除けに使われ、現代ではステンレスやアルミ、銅製のキッチン用品などがよく贈られます。
これらはいずれも実用性が高く、長く使ってもらえるのが魅力です。形に残る品を贈りたいときや、贈り先の好みに合う場合はおすすめです。もし品選びに迷ったら、相手に自由に選んでもらえるカタログギフトを検討してもよいでしょう。
その他雑貨- 京王ネットショッピング
カタログギフト- 京王ネットショッピング
4.香典返しで避けるべきタブーな品物
香典返しは、感謝の気持ちを込めて贈る大切な品です。しかし、中には風習やしきたりの面から適さないとされるものもあります。
ここからは、香典返しにおいて選ばないほうがよい品物とその背景を解説します。
4-1.四つ足生臭もの
「四つ足生臭もの(よつあしなまぐさもの)」とは、生肉や生魚などの生鮮食品を指し、仏教の教えでは殺生を思わせるため香典返しには不向きとされます。地域によっては四十九日が過ぎるまで口にしない習慣もあり、高級な牛肉や鮮魚であっても贈るのは避けましょう。
ただし、現物ではなくカタログギフトであれば、受け取った側が自由に選べるため問題ありません。肉や魚を候補に入れる場合は、こうした方法を取ることでマナーを守りつつ喜ばれる贈り物にできます。
カタログギフト- 京王ネットショッピング
4-2.お酒
お酒は本来、祝いの席でふるまわれるもので、「祝い酒」という言葉に象徴されるように慶事と深い結びつきがあります。そのため香典返しとしてはふさわしくなく、避けたほうがよい品です。
仏教では「不飲酒戒(ふおんじゅかい)」という酒を断つ戒律があり、宗教的な面からも控えられています。特に目上の方や関係の浅い相手には不快感を与える可能性があるため注意が必要です。親しい間柄でお酒好きな方であっても、事前に確認してから贈るのが望ましいでしょう。
4-3.商品券やギフトカード
商品券やギフトカードは、贈られた人が自由に使える利便性から人気が高まっていますが、香典返しとしては注意が必要です。金額が明確に分かるため、場合によっては失礼と受け取られることがあります。
特に昔ながらの風習を大切にする年配の方には、控えたほうが安心です。一方で、若い世代や形式にこだわらない相手には喜ばれることもあります。どうしても贈るなら、他の品物と合わせて金額が特定されにくくするなど、贈り方に工夫を加えるとよいでしょう。
4-4.縁起物をモチーフにしたお菓子
香典返しとしてお菓子を贈る場合、鶴や亀、松竹梅、宝船、鯛などの縁起物をモチーフにしたものは避けましょう。これらは結婚や長寿祝いなど慶事に用いられる意匠であり、弔事の場にはそぐわないとされています。
特に紅白の配色や金銀の装飾はお祝いの印象が強く、相手に違和感を与える可能性があります。香典返しには、落ち着いた色調と控えめなデザインの包装を選ぶことで、品位を保ちつつ感謝の気持ちを伝えられるでしょう。
5.香典返しの相場
香典返しの金額の目安は、いただいた額の半分程度をお返しする「半返し」が一般的とされています。たとえば5,000円の香典には2,500円前後、1万円の香典には5,000円程度の品物を贈るのが標準的です。この習慣は、香典から葬儀費用を差し引いた残りの半分をお世話になった方や菩提寺への寄進に充てていた昔の慣例に由来します。かつては関東では半返し、関西では3分の1返しが主流でしたが、全国から参列者が集まる現代では「半返し」を基準に考えるのが無難です。
ただし、家族葬や直葬など葬儀の形が多様化しているため、金額に迷うときは家族や親戚に相談しましょう。また、5万円や10万円など高額な香典の場合、必ずしも半額を返す必要はなく、3分の1~4分の1程度で対応することもあります。高額な香典には「葬儀費用の助けに」という意味が込められている場合が多いためです。
6.贈る相手別|香典返しのマナーと選び方
香典返しの基本は共通していても、相手によって適切な品や渡し方は異なります。ここからは、贈る相手別に見る香典返しのポイントを取り上げます。
6-1.親族に贈る香典返し
親族・親戚からの香典は、一般の方よりも高額になることが多く、相場通りの半返しにこだわる必要はありません。高額の場合は3分の1返し程度でも礼を尽くしたことになります。好みが分かれやすい相手には、カタログギフトや菓子・タオルの組み合わせが無難です。香典は同居家族からは渡されないため、その場合は香典返しも不要です。
ただし、原則として親族であっても香典をいただいたらお返しをします。香典辞退や返礼辞退があった場合は例外ですが、感謝と法要終了の報告を挨拶状で添えると、より丁寧な印象になります。
6-2.会社に贈る香典返し
会社関係で香典をいただいた場合は、まず名義を確認することが大切です。会社名であれば、ほとんどが慶弔規定に基づく福利厚生費扱いのため、お返しは不要です。経費か個人か判断がつかない場合は、総務などの担当部署に確認しましょう。
上司や社長など個人からいただいた場合は、通常の香典返しと同じく半返しを目安に品物を選びます。目上の方には高級感のあるタオルやカタログギフトがおすすめです。社員一同や部署有志などの連名でいただいた場合は、金額を人数で割って半額程度を目安に、皆で分けられるお菓子やコーヒーセットなどが人気です。
渡すタイミングは初出社時や業務外の時間帯が望ましく、周囲への配慮も欠かせません。取引先からいただいた場合は、個人なら半返し、連名なら共有できる品を贈ります。代理の方が持参した場合は、芳名帳をよく確認し、誤配送を避けるよう注意しましょう。
7.センスのいい香典返しの品物の選び方
受け取った方の記憶に残る香典返しにするには、品物の選び方に工夫が必要です。ここからは、贈る相手に好印象を与えるための、センスの良い香典返しの選び方について解説します。
7-1.丁寧な気遣いが伝わる見た目を意識する
香典返しでは、品物の中身と同じくらい見た目の印象も重要です。上品な和紙や木箱入りのお菓子、落ち着いた色合いの風呂敷包みなどは、丁寧な心配りを感じさせます。掛け紙や挨拶状も正しい形式で添えることで、より誠意が伝わります。
派手すぎる色柄やポップなデザインは避け、白や紫など落ち着いた色を基調にすると仏事にふさわしい雰囲気になります。見た目に配慮された贈り物は、受け取る相手に特別感と安心感を与えられるでしょう。
7-2.定評のあるブランドギフトを選ぶ
香典返しには、誰もが知る老舗ブランドや有名メーカーの品物を選ぶと安心です。たとえば、老舗の和菓子や洋菓子、有名茶舗の緑茶セット、評判の高いメーカーの日用品などは、それだけで「良い物を選んでくれた」という好印象を与えます。
定評のあるブランドギフトを選ぶことで、贈る側も品質面で安心でき、相手に失礼がありません。事前に「お菓子ならこのブランド」「お茶ならこの店」という目星をつけておくと、品選びがスムーズになり、センスの良い香典返しに仕上がります。
7-3.好みで選べるカタログギフトも候補に入れる
多くの人に一度に香典返しを贈る場合や、相手の嗜好が分からないときには、カタログギフトが重宝します。品選びの手間を減らしつつ、受け取った方には自由に選ぶ楽しみを提供できるのが魅力です。
香典返し用としては、落ち着いたデザインや高級感のある装丁のカタログを選ぶと、改まった印象を与えられます。さらに風呂敷包みや挨拶状を添えることで、形式ばった中にも温かみのある贈り物になります。
カタログギフト- 京王ネットショッピング
8.香典返しの品物選びで配慮したいポイント
香典返しは単に品物を贈るだけでなく、相手の立場や風習を尊重する心遣いが求められます。ここからは、品物選びで特に注意したい配慮の視点を具体的に解説します。
8-1.宗教や地域の慣習を考慮する
香典返しの品物選びでは、贈る相手の宗教や地域の慣習を踏まえることが大切です。仏教では食品や日用品といった「消えもの」が多く選ばれ、生肉や生魚などの生臭ものは避けられ、キリスト教ではシンプルで実用的な品が好まれる傾向があります。
また、地域によっては香典返しを行わない習慣が残っていることもあります。こうした背景を知らずに贈ると失礼になることもあるため、事前に相手や地元の風習を確認して選びましょう。
8-2.贈る相手の年齢・性別に配慮する
香典返しでは、贈る相手の年齢や性別を意識して品物を選ぶと好印象です。たとえば、高齢の方には品質の良いお茶や和菓子、落ち着いた色合いの実用品が向いています。若い世代や働き盛りの世代には、コーヒーや日常的に使える消耗品がおすすめです。
男性には実用性の高いキッチン用品や食品、女性には上品なパッケージのお菓子や日用品が喜ばれます。相手のライフスタイルや好みに寄り添うことで、感謝の気持ちがより伝わるお返しになります。
8-3.包装とメッセージカードで心を込める
包装とメッセージカードは、香典返しの印象を大きく左右します。掛け紙は熨斗(のし)なしで水引が印刷された弔事用を使い、色は落ち着いた銀や淡い寒色系が一般的です。自分の好みで派手な柄を選ぶと、相手によってはマナーを欠くと受け取られることもあります。
包装に加えて、簡潔ながら温かみのあるお礼文を添えたメッセージカードを同封すれば、より心のこもった贈り物になります。見た目と一言の心遣いが、感謝をしっかりと届けてくれます。
9.香典返しの品物を贈る時期と贈り方
香典返しは、贈る時期や方法によって受け取る印象が変わります。ここからは、香典返しを贈る適切なタイミングと、手渡し・郵送それぞれの贈り方について解説します。
9-1.香典返しを贈る時期
仏式の葬儀では、香典返しは四十九日の忌明け法要を終えてから1か月以内に贈るのが一般的です。香典返しは、いただいたご厚意へのお礼だけでなく、「無事に四十九日法要を終え、忌明けを迎えた」という報告の意味も込められています。
かつては「忌明け返し」が主流でしたが、近年では葬儀当日に一律の品を渡す「当日返し」も増えています。正式なマナーを重んじたい場合は、やはり忌明け返しがおすすめです。品物の選定や挨拶状の準備には時間がかかるため、法要後すぐに発送できるよう、忌明け前から手配を進めておくと安心です。
9-2.香典返しの掛け紙の選び方
香典返しの掛け紙は、弔事にふさわしい落ち着いたものを選びます。水引は黒白が一般的ですが、地域によっては黄白を用いることもあります。表書きには「志」や、関西地方で多い「満中陰志」を記し、下段に喪主の姓や家名を入れます。
香典返しでは祝い事に使う熨斗は付けず、水引だけの掛け紙を使うのが礼儀です。宗派や地域のしきたりによって細部が異なるため、葬儀社や年長の親族に確認すると安心です。掛け紙は贈り手の心遣いを示す大切な要素です。
9-3.郵送と手渡しの贈り方
香典返しの渡し方には、葬儀当日や法要後に直接渡す「手渡し」と、後日配送する「郵送」があります。以前は一軒ずつ訪問して手渡しするのが一般的でしたが、現在は遠方の親族や友人も多く、郵送が主流になっています。
手渡しの場合は外掛けの掛け紙を使い、簡潔なお礼の言葉を添えましょう。郵送の場合は内掛けにして挨拶状を同封し、到着日にも配慮します。どちらの方法でも、感謝と法要終了などの報告を丁寧に伝えることが大切です。
まとめ